2015年01月28日
坪茶のブログ
前回は世界的建築家A先生との出会いについて書いてみましたが、今回はその後のエピソードを少し書いてみたいと思います。
さて。何とか打ち合わせもスムーズに進みだし、現場が始まりました。
とはいえ、初めて任された現場です。不安も多少ありつつ、やる気もそれなりに沸いていました。
A先生といえばRC造、RCといえばA先生というくらい有名ですが、当時からA先生はRC大好きで、この現場もRC造でした。
現場は2つの住宅を渡り廊下でつなぐ形になっており、事件はその渡り廊下で起きました。
コンクリートで出来た手すりの天端を仕上げていると、
いきなり現場にやってきたA先生は、来るなりその手すりを見て「キレイすぎる!!」と激怒。
「お前はオレの建物になんてことしてくれるんだ!」と続けて怒鳴り、そばにあったコンクリートのスペーサーなどが入ったバケツを蹴飛ばし暴れだしました。
私はその言葉と態度にカチンと来ました。
まず、なぜキレイで怒られるのか。
そして、仕様書に仕上げ方は目荒しと指示がありましたが、まだ作業中。私はA先生に「まだ作業中ですから、仕上りを見てから言って欲しい」と強く訴えました。
すると、A先生はその手すりに頬ずりをするような仕草をしながら涙を溜めだし、「なんてことしてくれるんだ〜」と泣き始めました。
それを見た私は一瞬、呆気にとられましたが、
同時に、『この人には勝てない。私はA先生ほど仕事に対する情熱は無い。』と思いました。
しばらく是正が続きましたが、最終仕上りを見て、「これでいい、これでいい。」と笑顔になり、安心したように「あとも頼むぞ!」と、手を振り帰っていきました。
ホッとしていると、隣家のおばちゃんが出てきて「何ですか?あの人は?」と、怒られた私を慰めるように「ウチでお茶でもどうですか?」と誘ってくれました。
現場では、苦しい事や嫌な事も多いですが、隣家のおばちゃんのおかげで、この思い出も心温まる思い出のひとつになりました。
でも今振り返ると、あの涙は手すりへの不満でなく、バケツを蹴った足が痛かったんじゃ??なんちゃって笑
今回更新日は、平成27年01月28日
次回予定日は、平成27年04月01日
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